「YouTubeを始めるけど肖像権はどこまで注意したほうがいい?」
「YouTubeで撮影許可を出してないのに自分の顔を出された」
「YouTubeで知り合いが無断で投稿されているがどうしていいかわからない」
近年YouTubeの需要拡大に伴い、肖像権に関するトラブルが多発しています。
肖像権(しょうぞうけん)とは、個人の顔や姿のような外観を無断で使用されない権利のことです。この権利は、個人のプライバシーや名誉を保護するために存在します。
たとえば、誰かの写真を勝手に撮影して、商業目的で使用することは、その人の肖像権を侵害する行為となります。
ただし、公共の場所での撮影や、公共の利益に関わる場合など、肖像権が適用されないケースもあります。また、肖像権の範囲や取り扱いは国や地域によって異なる場合があります。
この記事を読めば、肖像権の基礎から肖像権侵害に遭った場合の対処法まで網羅的にに理解することができ、万が一に備えてリスクを最小限に抑えることができます。
YouTubeにおける肖像権はどこまで?基準は大きく3つ
YouTubeでの動画制作や視聴において、肖像権の理解は不可欠です。ここでは、YouTubeにおける肖像権の基準として重要な3つのポイントを解説します。
識別可能性
YouTube動画における肖像権の重要な要素は、識別可能性です。動画内で個人が明確に識別できる場合、その人物の肖像権が問題になる可能性があります。特に、顔や特徴的な外見がはっきりと映されている場合、肖像権侵害のリスクが高まります。
- 顔の特徴
- その他の特徴: 服装、姿勢、身体の特徴、声、名前の記載など
- コンテキスト: 動画や写真の背景、場所、状況
動画投稿者は特に上記のような要素に注意が必要です。
撮影・公開の同意
次に重要なのが、撮影および公開に対する本人の同意です。
YouTubeに動画を投稿する際、映っている人物から事前に撮影および公開の同意を得ているかどうかが肖像権侵害の判断基準となります。
同意なく撮影されたり、公開されたりした場合、肖像権侵害と見なされる可能性があります。
撮影場所の公共性
最後に、撮影場所の公共性も肖像権侵害の判断において重要な要素です。
例えば、公園や駅など公共の場所での撮影では、肖像権侵害の可能性が低くなります。
そのため、映り込みの場合は本人が特定できないレベルでは肖像権侵害に当たらないケースが多いです。
しかし、プライベートな環境や個人的な空間での撮影は、肖像権侵害のリスクを高める要因となり得ます。
YouTubeの肖像権に関するチェックリスト項目
YouTube動画における肖像権侵害の判断を簡単に行うための10のチェック項目を用意しました。
- 顔がはっきり識別されている
- 撮影に対する明示的な同意が無いのに公開された
- 動画が公共の場で撮影されていない
- 無許可で個人が動画の主要な焦点になっている
- 動画が商業的に使用されていない
- 個人の私生活が不当に公開されていた
- 肖像が蔑視的または誤解を招く方法で使用されていた
- 動画の投稿が個人の名誉を傷つけた
- 撮影の際に「顔出しNG」と伝えたのに公開された
- 動画により個人を特定されてしまった
上記の項目に当てはまる数は多い人は肖像権侵害に該当する可能性があります。
被害の申告するためにも、あらかじめ項目で当てはまったものに対する客観的な証拠を収集しておきましょう。
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YouTubeで実際にあった!肖像権に関する事例2つ
ここでは、実際にあったYouTubeにおける肖像権侵害の具体的な事例を紹介していきます。
公共の場での肖像権侵害の事例
東京地裁令和4年10月28日判決の事例によると、被告はYouTubeで、自ら撮影した原告が警察に公道上で逮捕される様子の動画を投稿しました。原告は名誉感情の侮辱と肖像権侵害を理由に損害賠償を請求しました。
東京地裁は、公的領域での撮影であっても、動画内容が原告の名誉を傷つけるものと判断し、被告に30万円の賠償を命じました。
このケースは、公共の場での撮影が肖像権侵害に当たる可能性を示す重要な事例となりました。
撮影・公開の同意での肖像権及びプライバシー権侵害の事例
知的財産高等裁判所第4部令和5年3月30日判決によると、この事件では、被告がYouTubeに開設したチャンネルで、原告が警察官に逮捕される状況を撮影した動画を公開したことに対して原告は、「この動画の投稿が自身の社会的評価を低下させ、肖像権及びプライバシー権を侵害し、精神的苦痛を引き起こした」と主張し、損害賠償を請求。
裁判所は、原告の本訴について、被告が投稿した動画が原告の名誉を棄損し、肖像権及びプライバシー権を侵害するものであると判断し、原告に対する慰謝料として40万円が相当であると認定しました。
これらの事例はYouTubeにおける肖像権侵害の問題を示しており、特に撮影の許可なく公開されることが重要なポイントとなっています。
それぞれのケースでは、被写体の許可がないこと、撮影場所の公共性、被写体の顔が特定できるかどうかなどが重要な要因とされています。
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YouTubeで肖像権侵害をされたときの対処法
「上記のチェックリストにかなり当てはまっている」
「YouTubeで肖像権侵害の被害に遭っている」
ここではYouTubeで肖像権侵害をされた場合の対処法3つを紹介します。
自分の被害状況にあわせて3つの方法を使い分けて試してみてください。
動画投稿者へ削除依頼をする
まず最初に考えるべき手段は、「動画投稿者へ直接削除依頼をする」ことです。これは最も速やかで円滑な解決方法の一つと言えます。
投稿者のプロフィールや動画の概要欄から連絡先を探し、削除を依頼してください。連絡先の記載がない場合は肖像権侵害の対象となっている動画にコメントをしましょう。
ポイントは、コメントや相手にメッセージを送信する際は攻撃的にならず冷静でコメントをすること。相手によっては逆上してさらにエスカレートする可能性があります。
件名: 肖像権侵害に関する動画削除のお願い
[動画投稿者名様]
こんにちは、[あなたの名前]と申します。この度は、YouTubeに投稿された動画([動画のタイトルまたはリンク])について、ご連絡いたします。
動画内で、私の顔や姿が識別可能な形で表示されていることに気づきました。私はこの動画の撮影または公開について事前の同意をしておらず、自分のプライバシーと肖像権が侵害されていると感じています。
YouTubeの利用規約と肖像権の保護を鑑みて、以下のリンクの動画の削除をお願いしたく思います。 [動画のURL]
可能であれば、[具体的な期限、例:7日以内]に対応いただけますと幸いです。お忙しいところ恐縮ですが、ご対応いただけますようお願い申し上げます。
[あなたの名前] [あなたの連絡先情報(必要に応じて)]
必要であれば上記のメッセージテンプレを活用してみてください。
YouTubeへ削除依頼を出す
次に考えられるのが、「YouTubeへ削除依頼を出す」方法です。動画投稿者との交渉がうまくいかない場合、YouTubeの公式の報告機能を利用することができます。YouTubeには肖像権侵害に関するポリシーがあり、違反動画の報告機能を通じて対応を求めることが可能です。
- 動画のプレーヤー下部にある「…」のアイコンを選択
- プルダウンメニューから「報告」を選択
- 表示される選択肢から、報告理由にあったものを選択
- 該当するチャンネル・アカウントページに移動
- 画面上部の「概要」タブにある「ユーザーを報告」を選択
- 報告理由を選択し、「送信」を押下
詳しい報告方法などを知りたい人はYouTubeのヘルプページを参考にしてください。
YouTube投稿者を法的に訴える
最後の手段として、「YouTube投稿者を法的に訴える」という選択肢もあります。これは肖像権侵害が明白で、かつ他の方法で解決が困難な場合に考慮されるべきです。
法的措置を取る場合は、弁護士や警察などの専門家に相談し、適切な手続きを進める必要があります。
次の見出しでステップを丁寧に解説していきます。
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YouTube投稿者から無視された!肖像権侵害を法的に訴える5ステップ
「YouTubeの投稿者にメッセージを送ったけど無視されて投稿が消えないまま。」
「YouTubeの公式にも報告したけどなかなか進展がなくて困っている。」
ここでは最終手段となる投稿者を法的に訴える手順を解説していきます。
この章を読めば、訴訟までの流れをしっかりと把握することができ、被害回復に大きく近づく可能性があります。
動画投稿者の情報開示請求
最初のステップは、「動画投稿者の情報開示請求」です。このプロセスでは、法的に動画投稿者の身元情報を開示するよう求めます。これには、正当な理由を示し、必要に応じて裁判所に申し立てを行います。
仮処分手続きの実施
次に、「仮処分手続きの実施」があります。これは、動画の一時的な削除やアクセス禁止を求める法的措置です。これにより、裁判が終わるまでの間、肖像権侵害が継続することを防ぎます。
プロバイダを通じた情報開示
第三のステップは、「プロバイダを通じた情報開示」です。ここでは、動画投稿者のインターネットサービスプロバイダ(ISP)に対して、動画投稿者の情報開示を求めることができます。この手続きも、法的な根拠に基づいて行われます。
法的手続きの進行
次に、「法的手続きの進行」が重要です。肖像権侵害の訴えを正式に裁判所に提出し、裁判の準備を進めます。この段階では、弁護士と密接に協力し、必要な証拠や文書を準備することが求められます。
損害賠償請求
最後のステップは、「損害賠償請求」です。肖像権侵害による精神的苦痛や名誉毀損などの損害に対して、金銭的な補償を求めることができます。この請求は、裁判の結果に基づいて決定されます。
上記の流れのように、法的に投稿者を訴える場合のプロセスは非常に複雑です。そのため専門家への相談を検討してみてください。
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YouTubeの肖像権に関するよくある質問
ここではYouTubeの肖像権に関するよくある質問についてまとめてみました。
最後まで見れば、皆が抱えるよくある悩みを理解し、スムーズに肖像権に関する問題を解決することができるでしょう。
声は肖像権に該当するの?
「声」は直接的な「肖像」とは異なりますが、特定の人物を特定できる重要な要素となることがあります。したがって、声が特定の人物を識別可能にする場合、それを無断で使用することは肖像権の侵害にあたる可能性があります。特に、その声が公的に認知されている人物のものであれば、より慎重な扱いが求められます。
投稿者に請求できる慰謝料の相場
肖像権侵害により慰謝料を請求する場合、相場は侵害の程度や影響の大きさによって異なります。一般的には数十万円から数百万円の範囲で設定されることが多いですが、具体的な金額は個々のケースによって大きく変わるため、専門家の意見を参考にすることが重要です。
芸能人やスポーツ選手も肖像権はあるの?
結論、芸能人やスポーツ選手も肖像権を持っています。公の場に出ることが多い彼らですが、私的な状況での無断撮影や使用は肖像権の侵害にあたり得ます。ただし、公共の利益や報道の自由の範囲内での使用は、一定の条件下で認められる場合があります。
肖像権に関してYouTubeで動画を投稿する際の注意点は?
肖像権侵害で視聴者に訴えられないためにも、動画投稿者は下記のことに注意してみてください。
- 撮影の同意:撮影対象者の同意を得ること*
- 識別可能性の考慮:特定の個人が識別可能な状況での撮影や公開
- 公共の場の利用:公共の場での撮影は、特定の個人の肖像権を侵害しないよう配慮
- 権利侵害の回避:他人の肖像権を侵害しないよう、編集やモザイクの利用を検討
*撮影対象者が本人と特定できるほどはっきり映る場合
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まとめ:YouTubeの肖像権を基準を理解し安全に利用しよう
- Youtubeにおける肖像権侵害の基準
- YouTubeの肖像権に関する事例
- YouTubeの肖像権侵害にあった際の対処法
- YouTubeの肖像権に関するよくある質問
この記事では上記の内容について解説してきました。
またYouTube利用者は下記のことを理解しておく必要があります。
肖像権の基本理解
肖像権とは、個人の顔や姿を無断で公開されない権利です。これには、自分のイメージをコントロールする権利が含まれており、他人による無断使用は侵害行為となり得ます。しかし、公共の利益や報道の自由が関わる場合、例外が適用されることもあります。
YouTubeでの安全な利用
YouTubeでは、次の点に注意しましょう。
- 撮影の同意を得る:登場する人物から事前に撮影と公開の同意を得る
- 公共の場での撮影:公共の場での撮影では、周囲の人々の肖像権を尊重する
- 肖像権侵害の対応:自身が肖像権侵害を受けた場合は、削除依頼や法的措置を検討する
- 情報の正確性を保つ:肖像権に関する情報や基準は、常に最新の法的情勢に基づいていることを確認
YouTube上での肖像権侵害に関する問題で悩んでいる場合は、お気軽にご相談ください。
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